尻尾の短い猫が日本では昔から愛されてきました。
好まれた理由のひとつに猫又というお話が広まっていたからかもしれませんね。
中国の猫鬼(びょうき)
猫の怖いお話ですが、中国の隋(ずい)の時代に「猫鬼(びょうき)」という化け猫のお話がありました。
猫が人に化けたり、人にとりついて病気にしたり、金品を奪ったり、人を食べてしまうというお話です。
この化け猫伝説が日本に広まったのが平安時代末期頃といわれており、それと共に猫という生き物がいる事が知れ渡る事となりました。
徒然草にも猫また
化け猫伝説が広まっていったので、平安末期の『本朝世紀』には「近江の国と美濃の国の山中に奇獣が出る。土地の人々はこれを猫と呼んでいる」と記されています。
鎌倉時代初期の歌人の藤原定家の日記の『明月記』には「天福元年、猫またという獣が出て、一夜に7~8人をかみ殺した」と記されています。
そして『徒然草』にも「山の奥に猫またがいて、人を食うそうだ」などと記されています。
その後、いろいろな書物で「猫又」という存在が解説されて広まっていく中で、いろいろな要素が混ぜ合わさって、化け猫というイメージが固まっていったそうですね。
猫又伝説
猫又伝説では、猫は歳をとると霊力をもち、妖怪に変化して神通力を使えるようになり、尻尾も2つに分かれて2本になるといわれています。
一説によると40~50歳まで生きた猫が猫又になり、人の言葉を話したり、二本足で歩いたり、霊力で死人を操ったり、人を食べたりするとされ、恐れられていたようです。
そして、尻尾が2股に分かれることから「猫また」と呼ばれるようになったそうですね。
尻尾が短い猫が人気
猫又伝説が広まった事により、江戸時代には長い尻尾の猫は猫又に化けると言われて敬遠されていました。
その為、日本では昔から尻尾の短い猫が好まれていました。
劣性遺伝子の尻尾の短い猫が日本に多く存在したのは、猫又伝説のおかげのようですね。
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